ドッジボール（グリードアイランド編）

① 試合経過と前提確認

舞台はグリードアイランド内イベント「レイザーのドッジボール」。
ゴン・キルア・ビスケ・ヒソカ・ツェズゲラ・ゴレイヌらが協力し、レイザー率いるNPCチームと対決した。
試合形式はバレーコート状でのドッジボール戦。念能力による投擲・防御・捕球が許可されている。
ルール上、最後の一人が「バック」を宣言しても直後のアウトは無効。
このため、**「レイザーを最後に残す」**のが最善策として作中で確認されている（No.163「対決⑥」）。

② レイザーを最後に残さなかった理由

【1. ゴンの心理的暴走】
ゴンはバック宣言直後に「カンペキにアイツを負かしてやる!!」と発言し、冷静さを失っていた。
この時点で戦術的判断より感情が優先されたとみられる。
彼にとって「レイザーを倒すこと」自体が目的化しており、
チーム方針（バック封じ）よりも正面勝負での決着を優先したと考えられる。

【2. キルアの黙認】
キルアはゴンの感情的行動を止めず、あえて同調した。
キルア自身も勝負を通じて成長や達成感を重視していたため、
試合戦略よりも「ゴンの納得」を優先する判断を取った可能性が高い。

【3. ヒソカのスタンス】
ヒソカはこの試合を“娯楽”として楽しんでおり、勝敗に固執していない。
結果としてチームの戦術統一は崩壊し、実質的に各自の判断での個人戦に移行していった。

③ ビスケがパスを要求した理由

問題の場面：No.166「対決⑨」
ビスケ「ヒソカ、パスちょうだい！」
→ボールを受け取り、苦手宣言の上で2番に命中。
観客「やった!! 残るのはレイザー1人!!」

【1. ヒソカの右手負傷】
ヒソカは直前に右手の指を2本骨折しており（No.165「対決⑧」）、
強投や制御の必要な投擲が困難な状態だった。
バンジーガムでの反射操作は可能でも、攻撃精度を保てないため、
ビスケが「自分が投げた方が確実」と判断した可能性が高い。

【2. 指揮系統の混乱】
試合終盤はゴンとレイザーの一騎打ちムードが強く、
誰が戦術指揮を取るかが曖昧になっていた。
この混乱の中でビスケが自主的に動いた（＝方針共有の欠落）と見るのが自然。

【3. “見せ場”という演出的役割】
作中ではビスケが「師匠としての行動」をほとんど見せておらず、
この場面が唯一の実戦関与描写。
演出意図として「弟子を支える師匠の一投」を描くための出番とも解釈できる。

④ 総合整理

・「レイザーを最後に残す」という戦術は理論上有効だが、
　感情・負傷・指揮の混乱によって実行不能になった。
・終盤はチーム戦から「個人の意志による試合」へと構造が変化し、
　その混乱を経て最終の三位一体（ゴン・キルア・ヒソカ）の連携に収束した。

この流れこそが、グリードアイランド編の主題である
**「連携の先にある個の覚醒」**を象徴する展開といえる。

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