暗黒大陸編 [ハンターハンター]

① 概要と位置づけ

暗黒大陸とは、人類が暮らす既知の世界（五大陸）を遥かに超えた外界であり、
現在の地図で“世界”とされている部分は、実際には**巨大湖メビウスの中に浮かぶ小島群**に過ぎない。
つまり、人類の文明圏は「暗黒大陸の中央湖に浮かぶ小さな点」にすぎず、周囲には常識を超えた生命圏が広がっている。

この地から来た“外来生物”が魔獣と呼ばれ、その中にキメラアントも含まれる。
大陸の環境は過酷を極め、200年以上前に“人類側の滅亡を防ぐため”にV5（世界五大陸連合）によって**不可侵条約**が締結された。

② 暗黒大陸の実態

かつて若き日のアイザック＝ネテロが単独で挑み、「規模が桁違い」「入口で引き返したお化け屋敷」と称したほどの未知の世界。
巨大生物、異常現象、未知の感染体、そして“存在そのものが災害”とされる現象が確認されている。

その反面、暗黒大陸には**究極の長寿食・万能薬・無限エネルギー源**など、人類の希望（リターン）となる資源が眠るとされる。

③ 門番と案内人

・門番：暗黒大陸と人類世界を繋ぐ唯一の接点を持つ魔獣族。
・案内人：門番によって召喚される亜人種で、入境者の護送や案内を担う。
人間が自力で辿り着くことは不可能であり、彼らを介さなければ“暗黒大陸”に踏み入ることすらできない。

④ 『新世界紀行』とドン＝フリークス

約300年前に出版された幻の書物『新世界紀行』は、当初“狂人の空想録”とされていたが、実際には**暗黒大陸を単独探検した人物の旅行記**である。
著者はジン＝フリークスの推定によると、祖先と思われる**ドン＝フリークス**。
彼はメビウス沿岸を一周し、「東の巻」だけが発見されている。
「西の巻」は“まだ執筆中”であり、ドン本人が今も生存している可能性が示唆される。

⑤ 五大厄災（The Five Calamities）

不可侵条約後も、V5各国が密かに別ルートから暗黒大陸へ渡航し、**案内人の警告を無視して“戒め”として持ち帰らされた存在**。
いずれも人類圏で確認されるだけで“滅亡規模”の災厄を引き起こす。

| 名称 | 危険度 | 希望（リターン） | 持ち帰った国 | 特徴・備考 | |------|---------|------------------|----------------|--------------| | 人飼いの獣バプ | A | 無尽石（沈めると発電する鉱石） | ベゲロセ連合国 | 快楽と命の等価交換。接触で理性を失う。 | | 植物兵器ブリオン | B+ | 万病に効く香草 | サヘルタ合衆国 | 謎の球体が古代遺跡を守る。攻撃不能。 | | 双尾の蛇ヘルベル | A | ニトロ米（究極の長寿食） | オチマ連邦 | 殺意を伝染させる。周囲を狂暴化させる。 | | ガス生命体アイ | A | 三源水（万能液体の源） | ミンボ共和国 | 欲望を共依存化させる霧状生命体。 | | 不死の病ゾバエ病 | B+ | メタリオン（錬金植物） | 不明 | 感染すると人格が崩壊し“不死の苦痛”を与える。 |

ジン曰く「人類が滅亡していないのは、ただの偶然」。
この言葉は、人類がいかに“小さな安全圏”の上で生きているかを示している。

⑥ 現代の探査とV5の思惑

キメラアント事件の後、ハンター協会はV5に代わって“新大陸探査計画”に関与。
十二支んを中心に、新会長パリストンとジンが主導する“暗黒大陸渡航船”の準備が進行している。

その裏ではカキン王国による**王位継承戦と探査船計画の融合**が進み、次なる物語の舞台として両者の思惑が交錯することとなる。

⑦ 意義とテーマ

暗黒大陸編は、
・人類文明の“外”の存在の確認
・探究心と倫理の衝突
・“未知への欲望”と“滅亡のリスク”の対比
を描く物語構造を持つ。

ハンターとは“未知を求める者”であるという原点を再定義し、物語を“冒険譚”から“人類史的探査譚”へと拡張した章として位置づけられる。

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