コムギ [ハンターハンター]

所属・基礎データ

登場章：キメラ＝アント編
CV：遠藤綾（2011年日本テレビ版）
出身：東ゴルトー共和国
職業：軍儀棋士（世界大会五連覇）
称号：軍儀世界王者
身体的特徴：全盲／慢性鼻炎（常に鼻水）／無造作な髪
一人称：「ワダす」
性格：おっとりとして素朴。極めて謙虚で他者に卑屈なほど低姿勢。
家族構成：10人家族の貧困家庭を支える長女。周囲から冷遇されているが、
　　　　　軍儀の賞金で家計を支える責任感を持つ。

主要エピソード

王との邂逅
コムギは「選別」が始まる前、王メルエムの退屈を紛らわせるために宮殿へ招かれ、
余興として軍儀を指すことになる。
だが、その一局目から王は敗北し、自らの知能の極限を誇っていたメルエムの世界観が崩壊する。
以降、王は連日コムギとの対局を重ね、彼女の「揺るぎなき純粋さ」と
「命を懸けた覚悟」に心を揺さぶられていく。

視覚を持たぬコムギにとって王の異形の姿も血の臭いも関係なく、
ただ目の前の「対局者」として向き合うのみであった。
この“偏見のないまなざし”こそが、
メルエムが人間性に目覚めるきっかけとなる。

軍儀への誓約
コムギは「軍儀で一度でも負けたら、命を差し出す」との覚悟を胸に生きており、
それ以外の取り柄がないと自覚している。
この“命を懸けた勝負”という精神的制約は、無意識のうちに念の誓約と化しており、
彼女を人智を超えた軍儀の天才へと押し上げていた。

王との対局中、「新しい手が湧き上がってくる」と語った描写は、
念能力の覚醒を暗示するものとされる。
作者メモでは強化系能力者に分類され、
“軍儀に関する思考力を強化する”という極めて限定的な念とされている。

終局と別れ
メルエムが最期に求めたのは、他でもないコムギとの軍儀だった。
両者は死を目前にした中で静かに対局を続け、
やがて王が息を引き取る瞬間まで互いに寄り添う。
「ねえ王さま、まだワダすのそばにいる？」という言葉とともに、
二人は同時に息絶える。 この場面は『HUNTER×HUNTER』全編の中でも最も美しい“終わりの形”として知られる。

念能力

能力名：（非公式・仮称）軍儀思考強化
系統：強化系（知能・思考力に作用）
特性：軍儀を打つ際にのみ発動。集中力・記憶力・発想力が飛躍的に上昇。
誓約：「軍儀に負けたら命を差し出す」という覚悟そのものが発動条件。
※自覚的使用はなく、完全に無意識下の念発動である。

役割

コムギは『HUNTER×HUNTER』における“人間の善性と無垢”を象徴する存在であり、
メルエムの魂を救済する唯一の光となった。
知的頂点の存在が“人間的温もり”に触れて滅びを選ぶ構図は、
冨樫義博作品における到達点の一つとして高く評価されている。

SNS・読者間では「H×Hで最も美しい死」「王と少女の神話」と称され、
今なおシリーズ全体を通じて最も象徴的なエピソードの一つに数えられている。

閉じる