水尾 [ふつうの軽音部]
水尾春一（みずお・はるいち）は『ふつうの軽音部』（クワハリ／出内テツオ、集英社・少年ジャンプ＋連載）に登場する谷九高校軽音部所属の1年生ギタリスト。<br> 元バレー部員であり、夏から軽音部に転部してバンド「protocol.」のギター担当として加入した。<br> 寡黙で不愛想ながらも真面目に音楽へ向き合う、努力家の“影の実力者”として描かれている。
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ギタリストとしての技量・活動経路
水尾は小学生の頃からギターを弾いており、部活動歴を持つ数少ない経験者の一人。
当初はバレー部に所属していたが、部員の少なさや顧問の無気力さに馴染めず退部し、
その後、同級生であり友人でもある鷹見項希（たかみ・こうき）に誘われて軽音部へ転部した。:
加入後は「protocol.」のギター担当として活動を始め、作中でもその演奏技術は高く評価されている。:
部内では特に技術的完成度が高いプレイヤーとして認識されており、ライブでは冷静にバンド全体の音を支える姿が印象的。
人間関係と心理構造
水尾は無口で他者との距離を取る性格だが、内面には「一つのことを極めたい」という強い意志を持つ。
バレー部時代から黙々と努力を続ける姿勢があり、練習後も一人で残って自主練をしていた描写がある。:
しかし同時に、「報われない努力」を続ける自分に迷いを感じていた節もあり、その葛藤が転部のきっかけになった。
物語では、主人公・鳩野ちひろと中華料理屋でのバイト仲間として登場し、意外な日常的接点が示されている。:
さらに、二人が同じ中学出身であることも明かされ、微妙な距離感と理解の芽生えが描かれている。:
巽玲羽（レイハ）との短期間の交際も示唆されており、恋愛面では不器用ながらも人間的な一面が垣間見える。:
このように水尾は、「技術を持つ者」「人との関係に疎い者」「過去を背負う者」という三重構造で描かれ、
成長の余地を残した静かな登場人物として物語に厚みを与えている。
物語上の役割と象徴性
水尾春一は、『ふつうの軽音部』における“努力型実力者”の象徴である。
彼の存在は、才能や衝動で動くキャラクターが多い作中において、
「積み上げによって到達する強さ」を体現している点で異彩を放つ。
技術的には主人公・鳩野ちひろよりも上位に位置するが、彼自身も「このままで終わりたくない」という焦燥を抱えている。:
その姿は、“普通の高校生が音楽をやる意味”という作品のテーマを深化させる要素として機能している。
また、鳩野との交流を通じて、水尾は「技術だけでなく人との関わりの中で成長していく」ことを学ぶ。:
彼は冷静さと情熱を内に併せ持つキャラクターとして、技術至上主義と青春の不器用さの狭間に立ち続ける存在である。
水尾の静かな成長は、『ふつうの軽音部』における“もう一人の主人公”としての重みを持っている。
