時は加速する

「時は加速する」 このセリフは、荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン』にて、ラスボス・エンリコ・プッチ神父がスタンド「メイド・イン・ヘブン」を発現させた直後に放つ、彼を象徴する台詞のひとつである。 物語終盤、プッチは“重力の特異点”に到達することでスタンドを究極の進化形へと昇華させる。その能力は「時を加速させる」という、従来のジョジョ世界のルールを凌駕するもの。 時間そのものの流れを加速させることで、あらゆる攻撃を無効化し、敵を圧倒する姿は、シリーズでも屈指の絶望感を生み出した。 このセリフは、彼が神を志向する狂信者であると同時に、物語の世界そのものを支配する存在へ変貌した瞬間を告げる“開幕の宣言”である。

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セリフ全文

最後にひとつ言っておく――

『時は加速する』。

わたしの能力は……完成したようだ。

そしてこれは……おまえたちを始末するための能力ではないし、
『最強』になるための力でもない……。

この世の人類が真の幸福に導かれるための力なのだ。

名を冠するなら――『メイド・イン・ヘブン』。

出典

荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン』「C-MOON その⑧」収録エピソード。

補足

この場面は、プッチ神父が最終スタンド「メイド・イン・ヘブン」を発現させ、 “時間加速”という宇宙規模の能力に到達する瞬間である。

彼の言葉には、敵を倒すためではなく“世界を完成させる”という
**宗教的使命感と狂信の確信**が込められている。
この「時は加速する」は、ジョジョ世界の根幹を揺るがすほどの
スケールと哲学性を持つ宣言として、シリーズ全体でも特異な位置を占めている。

世界法則の“書き換え”を宣言する構造

「時を止める」や「運命を操る」といった能力がこれまで登場してきた中で、プッチが口にした「時は加速する」は、それらすら凌駕する“宇宙のルールの改変”を意味している。

単なる戦闘技ではなく“世界全体の進行速度”を支配する能力。この台詞は、読者に「敵が人智を超えた存在に到達した」ことを一瞬で理解させる。

覚醒後のプッチ神父のセリフ／「最後にひとつ言っておく」「撃って来い」

プッチ神父が「メイド・イン・ヘブン」を発現させた後に放つ
「最後にひとつ言っておく　『時は加速する』」と「撃って来い…その方が殉教者らしくこの世を去って行ける」は、
彼の**完全なる覚醒と精神変化**を象徴する二大セリフである。

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1. 「最後にひとつ言っておく　『時は加速する』」

この言葉は、“能力の発現宣言”であると同時に、
プッチが人間から「神の摂理に同化する存在」へと変貌した瞬間を示す。
以前の彼は「天国へ導くための理想」を追い求めていたが、
この場面ではすでに**理想と現実の境界が崩壊し、自らを神の代理と確信している**。

冷静かつ淡々とした口調で語ることで、恐怖ではなく“必然”としての絶望を与える点が印象的。

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2. 「撃って来い…その方が殉教者らしくこの世を去って行ける」

この台詞は、覚醒後のプッチが敵をも“救済の一環”として扱う冷酷な自信を象徴している。
彼にとってもはや戦いは勝負ではなく、“神の摂理を成す儀式”。
相手に銃を向けられても恐れず、むしろそれを殉教に等しい行為として受け入れる――
ここに、**狂信と悟りが同居する異様な静けさ**が生まれている。

彼はもはや恐怖・欲望・怒りといった人間的感情を超越し、 “完全なる信仰＝冷徹な全能感”に到達している。

──これらのセリフは、プッチ神父が**「信じる者」から「信仰そのもの」へと昇華した瞬間**を描く、シリーズ屈指の宗教的・哲学的転換点である。

演出上の圧倒的スケール感

セリフ自体は短く簡潔だが、背景では空の雲や大地の動き、あらゆる生命活動が加速していく描写が重ねられる。このギャップによって、「たった一行の言葉が世界の運命を左右する」という異様なスケール感が演出される。