ワンパンマン

ワンパンマン（ONE／村田雄介）

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概要

『ワンパンマン』（わんぱんまん）は、漫画家・ONEによって無料公開されている日本のヒーロー漫画作品。
どんな敵でも一撃（ワンパン）で倒してしまう最強の男・サイタマを主人公とするギャグ系アクション漫画であり、
そのシンプルながら哲学的な構成が話題を呼んだ。

2009年よりONEのホームページで公開開始され、2012年6月14日からは村田雄介作画によるリメイク版『ONE PUNCH-MAN』が
集英社のWebサイト「となりのヤングジャンプ」にて商業連載されている。
2025年10月時点で単行本は累計3,500万部突破。
日本発のWeb漫画として世界的成功を収めた代表作である。

作品データ

原作：ONE（オリジナルWeb漫画版）
作画：村田雄介（リメイク版）
掲載サイト：ONE公式ホームページ／となりのヤングジャンプ
出版社：集英社（リメイク版）
発表期間：
・ONE版：2009年7月〜（連載中）
・村田版：2012年6月14日〜（連載中）
巻数：既刊35巻（2025年10月現在）
ジャンル：ヒーロー／アクション／ギャグ／社会風刺

誕生の経緯

本作は、ONE氏が漫画制作ソフト「ComicStudio」の練習目的で描いた“実験作”として誕生した。
当初は他作品のパロディ的要素を含む短編の予定だったが、
1話公開後の大反響を受けてプロットを練り直し、正式に連載化された。

ONE版は新都社に登録されていたが、その後ONE氏のホームページにて更新が継続されている。
2017年に一時休止後、2019年4月に更新再開。現在も不定期で続いている。

リメイクの経緯

漫画家・村田雄介はONE版を読み、その作風に深く感銘を受けた。
「この世界観を自分の画力で広めたい」と感じた村田氏はONEに直接連絡を取り、
プロ作画によるリメイク化を提案。ONEもこれに快諾し、二人のタッグが実現。

その後、「となりのヤングジャンプ」で連載開始。
商業作品として再構築されたリメイク版は、精密な作画・圧倒的演出・新規エピソードで世界的人気を獲得した。

連載開始当初、村田氏は重病で倒れたが、退院後「ONEと共に作品を形にしたい」と決意し、
ジャンプ編集部との契約を解除してまでワンパンマン制作に専念したという逸話も残る。

リメイク版の独自展開

リメイク版『ワンパンマン』では、ONE氏が新たに描き下ろしたネームをもとに
村田氏がデザイン・演出を補強。バトル構成やセリフも丁寧に協議の上で追加されている。

ONE氏曰く：
> 「僕がネームを渡し、村田先生が補強してくれています。
> 僕には描けないけれど、村田先生なら描ける展開があるなら、そちらを選びます。」

村田氏の判断での演出修正も多く、
童帝VSフェニックス男のエピソードなどは「村田氏の完全オリジナルネーム」であることが明言されている。

また、単行本化の際には加筆修正や演出変更が頻繁に行われ、
修正版と公開版で展開が大きく異なることも特徴である。

アニメ展開

・2015年3月12日：『週刊ヤングジャンプ』にてTVアニメ化発表。
・2015年10月：第1期放送開始。
・2016年9月：第2期制作発表。
・2019年：第2期放送。
・2022年8月：第3期制作決定。
・2025年10月：第3期放送中（テレビ東京系列）。

あらすじ

就職活動に行き詰まっていた青年・サイタマは、
怪人から少年を救ったことをきっかけに「ヒーローになる」という夢を思い出す。
3年間の過酷なトレーニングの末、どんな敵でも一撃で倒す力を得たが、
同時に髪の毛を失い、戦いにスリルを感じなくなってしまった。

そんな中、復讐のため怪人を追うサイボーグ青年・ジェノスと出会い、弟子を志願される。
二人はヒーロー協会に加入し、個性豊かなヒーロー達とともに
怪人協会との激闘や“真のヒーローとは何か”という問いに向き合っていく。

世界観

舞台は現代日本に似た都市群（A市〜Z市）で構成された世界。
人類は日常的に“怪人”による災害に見舞われ、
民間組織「ヒーロー協会」に登録された者たちがその対処にあたる。

国家・言語は過去の戦争によって統一されており、
人類は単一大陸に集約された社会で生活している。
この設定は原作とリメイクで細部が異なり、
村田版ではより現代的・グローバルな世界観に再構成されている。

テーマ

・「最強であることの虚無」
・「努力と結果の乖離」
・「ヒーローとは何か」
これらの問いをギャグと哲学のバランスで描く、唯一無二のヒーロー漫画。

総評

『ワンパンマン』は、ONEによる“原作の哲学”と、
村田雄介による“作画芸術”が融合した二層構造の物語である。
最強ゆえの虚無を抱えるサイタマの姿は、
現代社会における「達成と空虚」を映す象徴としても読み取れる。
原作・リメイク・アニメのすべてが、同一テーマを異なる文体で語る稀有なシリーズ。