鬼龍が廊下を練り歩いてる
「鬼龍が廊下を練り歩いてる」 <br> このセリフは、『TOUGH』第319話「覚醒せし悪魔」にて、宮沢熹一が病院の廊下で負傷中の宮沢鬼龍を見つけた際に放った言葉である。<br><br> ファントム・ジョーとの激戦で肋骨を開放骨折した鬼龍は、本来なら安静が必要な状態だった。 それにもかかわらず、鬼龍は堂々と病室を抜け出し、廊下を歩いていた。 その異様な光景を前に、熹一が思わず漏らしたのがこの“実況のような”セリフである。
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誤用が生んだ奇跡的インパクト
「練り歩く」という語は本来、複数人で列をなしてゆっくり進む行動を指す。 にもかかわらず、鬼龍は一人で静かに歩いていただけであり、この文脈では明らかな誤用である。
しかしそのズレが逆に、**異常な存在感を可視化する比喩**として機能した。 重傷にもかかわらず歩く鬼龍の異様さが、「練り歩く」という誇張表現によって神格化され、 タフ語録特有の“誤用から生まれる美学”を体現した瞬間となった。
語感の異様な吸引力
「鬼龍が」「廊下を」「練り歩いてる」という語の並びは、 **リズムと響きの面白さ**によって一種の呪文のような印象を与える。 動作描写なのに妙に荘厳で、しかも状況と不釣り合いなため、 読者の脳裏に“意味不明なのに忘れられないフレーズ”として刻まれる。
この語感の快楽性こそが、タフ語録の人気を支えるコア構造である。
タフ語録における「実況」スタイルの源流
熹一が鬼龍の異常行動を**淡々と実況するように述べる**点も重要である。 感情的な驚きや悲鳴ではなく、まるでナレーションのように観察する語り口が、 鬼龍という存在の非人間的カリスマを際立たせている。
以後、「〇〇が××を練り歩いてる」は、予期せぬ登場やシュールな動作を表す**ネットミーム的フォーマット**として定着し、 タフ語録の中でも特に“静的な狂気”を象徴する一節となった。
