寄生獣 最終回

概要

話数：最終話「きみ」
掲載：『月刊アフタヌーン』（講談社）1995年発表
単行本収録：第10巻（完結巻）
舞台：市役所での殲滅戦から1年後
主要登場人物：泉新一／村野里美／浦上／ミギー

あらすじ

ミギーが右手から姿を消して一年。高校を卒業し浪人生となっていた泉新一の前に、かつて市役所で出会った連続殺人犯・浦上が再び現れる。
浦上は“人間を殺す寄生生物よりも自分こそが人間的だ”と主張し、村野里美を人質にとって新一に問いかける。
「寄生生物は食うために殺す。だが俺は違う。……お前から見て、俺は何だ？」
人間と寄生生物の狭間に立つ新一は答えを探すが、事態は急変。里美がビルから落下し、新一は手を伸ばすも届かない。

クライマックス

里美が落下する瞬間、かつてミギーが語った言葉が新一の脳裏に響く。
「悲しみを感じること、それこそが人間の最大の取り柄だ」
そして、奇跡のように新一の右手が里美の手を掴む。
ミギーが戻ってきたのか、それとも“心”が反応したのかは語られない。
二人は抱き合い、かつて子犬を埋め直した日の記憶を思い出す。
「それは新一くん……きみが新一くんだから」――
静かに物語は幕を閉じる。

最終話のテーマ

最終回では「人間とは何か」「理性と本能」「生命への共感」というテーマが結晶化している。
浦上という“純粋な悪”と対峙する中で、新一は「悲しむこと」「寄り添うこと」の尊さを理解し、人間性の証明としての“心の余白（ヒマ）”に気づく。
この“余白”こそが、作中でミギーが説いた「人間の最大の取り柄」であり、生きる意味を再定義するラストメッセージとなっている。

結末の象徴性

・ミギーの再登場は曖昧に描かれ、“生命の連続”や“共生の記憶”を象徴する。
・ビルの上での救出シーンは、かつての“子犬の埋葬”エピソードと対になっており、新一の成長を示す。
・タイトル「きみ」は、里美・ミギー・そして“人間”全体を含む二重の意味を持つとされる。

ユーザーの声

> 「“悲しみを抱くことこそ人間”という締めが完璧すぎる。」
> 「ミギーが戻ったのかどうか明言しない余韻が美しい。」
> 「浦上の存在が“人間の闇”を体現していて、最後まで哲学的だった。」

閉じる