呪胎九相図 [呪術廻戦]

概要

分類：呪物（特級呪物）
製作者：加茂憲倫（史上最悪の呪術師）
構成：九体セットの呪物（兄弟）
代表格：一番～三番（脹相・壊相・血塗）＝宿儺の指クラスの特級呪物
保管状況：かつては宿儺の指と共に呪術高専の忌庫で封印保管
現状：一番～三番は受肉済み／四番以降は“呪力を帯びた亡骸”として存在

正体・誕生経緯

・正体は「呪霊と人間の混血児」＝半人半呪霊の胎児呪物。
・明治初期、呪霊の子を孕む特異体質を持つ女性が、迫害と異形の赤子を抱えて憲倫の寺に救いを求めた。
・憲倫はその体質に目を付け、彼女と用意した呪霊との間に“九度の懐妊と堕胎”を強行。
・取り出された九体の胎児は強い呪力を持つ呪物となり、「呪胎九相図」として約150年封印される。
・母親のその後や実験の詳細は記録ごと破棄されており不明だが、作中でも屈指の“誕生からして救いのない存在”として描かれる。
・九体は互いを唯一の拠り所とし、封印下でも兄弟としての自我と絆を保ち続けていたと示唆されている。

形状・受肉の仕組み

・見た目は「未発達の胎児標本」のような試験管入りの呪物。
・封印中は「破壊されない代わりに周囲に害を及ぼさない」という縛りで安定して存在。
・人間に飲ませるなどして摂取させると、その肉体を上書きして“受肉”する。
　— 人間1人を生贄に捧げることで、この世に肉体を得る仕組み。
・この理屈自体は宿儺の指や、死滅回游の過去術師たちの受肉と同じ。

番号と兄弟構成

・九体は保存時に生まれた順で番号を振られ、受肉後は「九相図」にちなむ名を名乗る。

一番：脹相（ちょうそう）
二番：壊相（えそう）
三番：血塗（けちず）
四番：膿爛（のうらん）
五番：青瘀（せいお）
六番：噉相（たんそう）
七番：散相（さんそう）
八番：骨相（こつそう）
九番：焼相（しょうそう）

・最終的に“生きている”のは長男・脹相のみ。
・四番以降は封印の負荷に耐え切れず既に死亡、呪力を帯びた亡骸として忌庫に保管されていた。

生得術式・特異体質

・脹相：加茂家相伝「赤血操術」
・壊相＆血塗：蝕爛腐術（血液由来の腐蝕系術式）

共通の特徴：
・いずれも“血液を媒介とする術式”で、加茂家の系譜（あるいはその発展形）とされる。
・呪霊とのハイブリッドゆえ、「呪力を血液に変換できる特異体質」を持つ。
　→ 術式の根本的弱点である“失血”リスクを完全に克服。
・半分呪霊の血は、生物が体内に取り込んだ瞬間“猛毒”として機能し、
　術式の有無に関わらず触れた側を蝕む。

受肉後の動向

・作中時点で、一番～三番のみが受肉。
・呪霊側についたのは“人間への憎悪”ではなく、異形の弟たちが人として生きるにはあまりに過酷で、
　「呪いとして祓われる存在として生きた方が弟たちのためになる」と脹相が判断したため。
・三人の根源的な願いは「兄弟で静かに暮らす」ことであり、人間・呪術師への直接的な悪意は薄い。
・そのスタンスと兄弟愛の強さは、壊相・血塗と戦った虎杖＆釘崎側に重い罪悪感を残し、
　虎杖にとっては“自分の意思で初めて命を奪った”という苦い経験となる。

呪術高専との関わりと利用

・宿儺の指と共に呪術高専に回収され、忌庫で厳重保管されていた。
・交流会襲撃時、真人が宿儺の指と共に一番～三番を盗み出し、その後受肉。
・偽夏油（羂索）は、九相図に対しては
　「自分の可能性の域を出ない」「期待外れ」と失望しており、
　およそ150年もの間放置していた。
・受肉させたのも“五条封印のための戦力”“宿儺の指回収の駒”として利用するためだけであり、
　壊相・血塗死亡の報告を聞いてもほぼ無反応、むしろ笑うほどの冷淡さを見せている。

血縁関係と虎杖悠仁との“兄弟”設定

【ベースとなる関係】
・第一子：人間（母）＋呪霊（父）
・脹相～焼相：人間（母）＋呪霊（父）＋加茂憲倫（血を混ぜた“第三の親”）
・虎杖悠仁：加茂憲倫（母）＋虎杖仁（父）

・この結果、脹相らと悠仁は“加茂憲倫の血”で繋がる遠い兄弟関係となる。
・脹相いわく「“俺”には三人の親がいる」。
・脹相側の術式の副次効果（血の感応）により、悠仁が自分たちと血縁を持つ“弟”であることを悟る。
・なお、脹相は自他共に“長兄”を名乗るが、正確には母が最初に生んだ第一子（既に死亡）がいるため、
　系譜上は第二子にあたる可能性が高い。

物語上の意味・テーマ性

・呪胎九相図は「人と呪いの境界」「血縁と呪縁」「実験としての家族」の象徴。
・加茂憲倫にとっては“呪力の新形態を探るための実験素材”に過ぎず、
　期待を裏切った“失敗作”として放置されてきた存在。
・しかし脹相たち自身は、極めて人間的な「家族愛」「兄弟愛」によってしか支えられておらず、
　そのギャップが作品全体の「呪い＝歪んだ愛」のテーマと響き合っている。
・宿儺決戦に向けて、虎杖は高専に保管されていた四番以降の亡骸を取り込み、
　脹相も「弟達はオマエの中で生きられる」と誇らしげに語る。
・“血は呪いよりも濃い”というコピーと共に描かれたカラーイラストは、
　彼らの血縁の物語が単なるホラー要素ではなく、救いと呪いが入り混じる家族譚であることを示している。

ユーザーの声

> 誕生過程は作中屈指の地獄なのに、願いは「兄弟で穏やかに暮らしたい」だけというギャップが刺さる。 > 脹相の“お兄ちゃん”ムーブや、虎杖との血縁が明かされてからのドラマ込みで、九相図エピソードは呪術でも屈指の名サイドストーリー扱いが多い。

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