ヒソカ95点
「95点」 <br> この“採点”は、『HUNTER×HUNTER』会長選挙編に登場するヒソカ＝モロウの発言である。 新たな会長を決める十二支んが集う場に姿を現したヒソカの目的は、 選挙そのものではなく、集まった強者たちの“品定め”であった。<br><br> 彼は彼らの力量を独自の採点方式で測る。 十二支んの点数は、ギンタ90点、カンザイ85点、ピヨン77点―― だが、その中でも突出した“95点”を与えられたのがイルミ＝ゾルディックである。 数値に込められた意味は単なる戦闘力の評価ではなく、 **ヒソカの「欲望・殺意・美意識」が一点に収束した主観的指標**である。<br><br> この「95点」という数値は、 彼が“殺したいほど美しい相手”を見つけた瞬間の高揚そのものであり、 冨樫義博が描く“快楽と死の境界”を象徴するひとつの数式でもある。
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“イルミ＝95点”という倒錯的な親密さ
イルミはゾルディック家の長男であり、 ヒソカにとっては長年の共犯者、そして奇妙な友情を超えた関係性を持つ存在だ。 彼が“95点”であったのは、対等に立つものに相応しい力量の持ち主だからだろう。 つまりヒソカにとってイルミは、**「殺すべきでもあり、まだ殺せない唯一の他者」**である。
“数値”を超えた快楽の予兆
95点という評価は、満点ではない。 ヒソカは常に「100点の死」を求め続ける存在であり、 この“足りない5点”こそ、彼の生の原動力である。 完全に満たされることは死を意味する。 だから彼は、敢えて満点をつけない―― **永遠に未完の欲望**こそが、彼の狂気の持続装置なのかもしれない。
“狩り”の前の静かな陶酔
この採点シーンのヒソカは、いつものように殺意を剥き出しにしてはいない。 彼はあくまで冷静に、目を細めて、観察する。 その表情はまるで美術品を前にした鑑賞者のようであり、 **暴力を情動してぶつける対象を選定する狂人の慎重さ**が漂う。
