テニスの王子様

『テニスの王子様』（てにすのおうじさま）は、許斐剛による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』（集英社）にて1999年32号から2008年14号まで連載され、その後『ジャンプスクエア』にて続編『新テニスの王子様』が2009年3月号より連載中。通称は「テニプリ」。

もっと詳しく見る

概要

・作者：許斐剛（このみたけし）
・出版社：集英社
・掲載誌：週刊少年ジャンプ（初代）／ジャンプスクエア（新）
・連載期間：1999年〜2008年（初代）／2009年〜（新）
・単行本：初代全42巻／新テニスの王子様既刊31巻（2025年時点）
・話数表記：初代＝「Genius-」、新＝「Golden age-」
・シリーズ累計発行部数：6,000万部突破（2020年12月時点）

『テニスの王子様』は、テニスの名門・青春学園中等部を舞台に、主人公・越前リョーマが全国大会優勝を目指して戦う物語。
当初は実際のテニス技術に基づいたリアルな試合展開が中心だったが、次第に超人的な技が飛び交う“テニヌ”世界へと変貌し、スポーツ漫画の常識を覆した作品として知られる。

---

あらすじ

アメリカ各州のジュニア大会で4連覇を達成した天才少年・越前リョーマが、日本に帰国して青春学園中等部へ入学。
全国制覇を目指す青学テニス部のレギュラーに抜擢され、各地の強豪校──不動峰、聖ルドルフ、山吹、氷帝、立海、四天宝寺らとの試合を通じて、仲間とともに成長していく。
父・越前南次郎の背中を追いながらも、「テニスを楽しむ心」を取り戻したリョーマは、最終的に“無我の境地”のさらに先、「天衣無縫の極み」に到達する。

---

作風と特徴

連載初期はテニスの基礎技術や戦術を丁寧に描く**部活青春ストーリー**であり、読者がルールを理解しやすい構成となっていた。
しかし中盤以降、「無我の境地」登場を境にテニスが超常現象化。試合中に重力が歪み、ボールが竜巻や光線になるなど、常識を超えた演出が展開されるようになった。

その変化についてライター・さやわかは次のように評している：
> 「美しい少年たちがムチャクチャな超能力で、テニスにすら見えない試合をカッコよく勝ち上がっていく姿は、昔の荒唐無稽なジャンプ漫画そのもの。」

この“リアルと非リアルの融合”こそが、テニプリが長く愛される理由とされている。

---

モデルと影響

・モデル校は東京都の立教池袋中学校（旧・立教中学校）。
　1997年に全国中学生テニス選手権で団体優勝しており、作者が取材協力に感謝を記している。
・主人公・越前リョーマのモデルは、早稲田大学出身の羽石祐（作者の実写映画インタビューで証言）。
・男子プロテニス選手・錦織圭も小学生の頃からの愛読者として知られている。

---

社会的影響・記録

・アニメ放送開始（2001年）後、国内テニス競技人口は780万人→920万人に増加。
　約140万人もの“テニスブーム”を巻き起こした。
・キャラクターグッズの年間売上トップを独走。女性層を中心に熱狂的な支持を得た。

---

メディアミックス展開

・2001〜2005年：テレビアニメ放送（全178話）
・2003年〜現在：ミュージカル化（通称「テニミュ」）
・2006年：実写映画版公開／OVAシリーズ開始
・2008年・2019年：中国で実写ドラマ化
・その他：CD、ゲーム、TCG、イベント、舞台、グッズ展開など多数

特に「ミュージカル・テニスの王子様」（テニミュ）は2.5次元舞台の先駆けとして知られ、
2010年に累計動員100万人を突破、2021年には300万人を超えた。

---

『新テニスの王子様』への継承

前作から数か月後、U-17（アンダーセブンティーン）日本代表合宿を舞台に、リョーマたちが高校生やプロ顔負けの強豪たちと戦う続編。
新キャラや世界大会などスケールが拡大し、テニヌ世界はもはや“人類進化系スポーツ”へ突入している。

---

評価とレガシー

・スポーツ漫画としての常識を覆した異端作。
・中学テニスを題材にした作品として世界的な知名度を獲得。
・連載終了後もアニメ・舞台・映画で新世代ファンを獲得し続けている。

---

総評

『テニスの王子様』は、
> “テニス漫画”でありながら、“テニスという概念そのものを超えた少年漫画”。

努力・友情・勝利の三要素を超常的表現で昇華させ、
少年ジャンプ史上屈指のカルト的スポーツ作品として、その名を刻んでいる。