「鬼龍が廊下を練り歩いてる」をネタとしての使い方を考察
【1】リサーチと分析パート
・作品背景と台詞の意味：
「鬼龍が廊下を練り歩いてる」は、猿渡哲也『TOUGH』第319話「覚醒せし悪魔」において、
主人公・宮沢熹一が、満身創痍の宮沢鬼龍を目撃した際に発した台詞である。
鬼龍はファントム・ジョーとの死闘で肋骨を開放骨折し、
本来なら寝たきりのはずの状態であったにもかかわらず、
病院の廊下を堂々と歩いていた――その異常な光景を、
熹一が淡々と実況するように呟いたのがこの一言だ。
このセリフの魅力は、**あまりに狂気的な状況を“平熱の語気”で伝える温度差**にある。
読者の「いや歩くなよ」というツッコミを内包した、
シュールギャグ的瞬間でありながら、
“鬼龍ならあり得る”という説得力を同時に成立させてしまう点に独特の破壊力がある。
・ネタ化・コラ画像の傾向：
ネットでは、この台詞は**“異常事態実況構文”**として広く転用されている。
明らかにおかしい・規格外・人外的な行為を、
あえて淡々と報告することで笑いを生むスタイルであり、
「○○が△△してる」のテンプレート化によって汎用性を獲得した。
とくに“廊下を練り歩く”という言葉選びが生む奇妙な荘厳さが、
“異常を平然と描写するタフワールドの語感”として人気を博している。
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【2】アイデアと創作パート
・ネタ化の方向性：
“超常現象を日常報告調で描写するギャップ構文”として活用する。
語尾の「〜してる」形式が持つ**「冷静な混乱」**のトーンを生かすと、
どんな突拍子もない状況も“既に起きてること”として成立する。
・派生構文・応用例：
・部長がプレゼン中に踊ってる。
・AIが小説を書いてる。
・推しが壁から出てきてる。
・冷蔵庫が歩いてる。
・祖父がガチャを回してる。
・上司がSlackで「しゃあっ」って打ってる。
・再構築の方向：
この構文を**“異常平叙報告構文”**として整理。
「感情が追いつかない異常を実況する」ことで、
シュールと恐怖の間を彷徨う笑いを生む。
文章リズムの鍵は“主語＋が＋行動＋してる”という淡白な実況形。
説明をしない冷静さが、最大の狂気演出になる。
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【3】総括
「鬼龍が廊下を練り歩いてる」は、日本的ミーム文化における**“静的狂気構文”**の代表例である。
猿渡作品の“熱血”と“無表情な異常”の中間に位置するこの一言は、
現代ネットの“無感情な実況テンプレ”の祖型といえる。
すなわちこの台詞は――
**「狂気を実況する語法」**として、
タフ語録の中でも特に文学的な完成度を誇るフレーズである。
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